運動で元気に!①

 
アレルギー性鼻炎を発病した


 私は50歳頃までは、健康や体力づくりには、

あまり関心がなく、職業が銀行員という事務職

であったこともあり、肩こり、腰痛、食欲不振

などが慢性化していて、体調もあまり芳しく

ありませんでした。

 

これも職業柄やむをえないこととあきらめていました。

 

 毎年のように人間ドックに入っていましたが、

いろいろな注意とアドバイスを受けていました。

 

 昭和51年には「運動不足による糖尿病の兆しが

あるので注意するように」とのアドバイスを受けましたし、

昭和54年の総合診断では「軽い動脈硬化が認められるので、

運動不足にならないように」との具体的な指導も受けていました。

 

 このような運動不足を主な要因とする症状があるにも

かかわらづ、具体的に運動不足を解消するための行動

に移ることなしに、ずるずると過ごしていたのですが、

45歳ころにアレルギー性鼻炎が発病し、非常に苦しい思いをしました。

 

 この病気は、命にはすぐには影響しないものの、

それがいかに苦しいものか、まず目が痒くなって開けていられなくなり、

鼻の中にも炎症が出てきて塞がり、皮膚にはジンマシンがでて、

頭も痛くなって気力もうせてしまいました。

 

このため、耳鼻科のほか、眼科、皮膚科と医者を渡り歩くのが常でした。

 

●減感作療法を受けたが、治らなかった
 それでもなかなか良くならないで、困り抜いていたときに、

札幌私立病院で「減感作療法」という最新療法を行っていることを

テレビで知り、治療に通い始めました。

 

 この療法は、まずその人のアレルギーを引き起こすアレルゲンの

種類を調べるために、腕にその菌を注射して、腫瘍などで反応が

出たもので確定します。私の場合は家ダニと杉花粉でした。

 

 このアレルゲンを薄めた液を、毎週3回程度通院して注射し、

体に抗体を作るというものでした。

 

 この通院を2年ほど続けましたが、症状が良くなりませんでした。

先生の話ですと、この方法が現在一番有効なのだが、

100パーセント有効ではなく、治ったら幸運と思ったらよい

という程度のもののようでした。

 

●先生のアドバイスでトレーニングを始めたら3カ月でアレルギー性鼻炎は治った


 そこで先生に、何かほかに良い方法がないか、と尋ねたところ、

先生は苦し紛れに「血行を良くするために運動をしたらよいかもしれない」

と言われました。

 

この先生のアドバイスに従って、札幌のアスレチッククラブに通って、

トレーナーの指導で必死にトレーニングを始めたのですが、

3ヶ月ほど経ってみますと、アレルギーの苦しい症状がなくなって

しまっていたほか、体調もすこぶる良くなり、腰痛、肩こりもなくなっていました。

 

●、私の体力年齢は二十歳代と認定された
 さらにうれしいことに、トレーニングの効果を確かめるために、

文部省で実施していた、壮年体力テストを受けてみたところ、

なんと自分の体力年齢は二十歳代であるとの判定を受けたのでした。

 

 一般的には、人間の体力は20歳を過ぎたころから、

年とともに衰え始め、殊に60歳を過ぎた定年後には、

急速に衰えるものだと言われています。

 

 しかし私は、努力次第では、年齢に関係なく体力は維持できるし、

その気になれば、年とともに体力を向上させることさえも

可能ではないかと思っています。

 

●どうして治ったかを知るために体育理論を調べた 
この結果に気をよくしたので、体力づくりを徹底的に調べてみました。


 札幌の中島公園にあるスポーツ図書館に通って参考書を読んだほか、

北海学園大学の体育学の武田憲司教授の教えを受けたり、

早稲田大学の窪田登教授の千歳で開催された

「体力づくり一日セミナー」の参加するなどしました。

 

 特に参考になったのは、アメリカのケネスクーパーの

「エアロビクス理論」でした。

 

●私の体調不良は運動不足が原因
 このような体験から、私の体調不良は運動不足が原因

であることを知りました。

そして運動不足が原因で引き起こされる病気のことを、

運動不足病であることを知ったのです。

 

 
●運動不足病の原因 
 体力や筋力は年齢と共に衰えて来ます。

運動不足は体力や筋力が衰えるだけでなく、

さまざまな病気の原因ともなってしまいます。

 

 中高年になると基礎代謝が低下する為、

太りやすくなります。同じ量を食事でも、

若い時と比べるとすべて消費出来ずに脂肪として

蓄積されてしまうのです。

 

 適度に運動をしなければ、脂肪は蓄積される一方で

肥満になり、肥満が原因で成人病など様々な病気の原因となってしまいます。

 

 また、運動不足では全身の血流が低下する為、

血液の循環が悪くなってしまいます。

 

その為、高血圧や動脈硬化脳梗塞心筋梗塞

狭心症などの病気を発症するリスクが高まります。

   

 運動不足で内臓機能の働きも衰える事から、

便秘や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因ともなってしまいます。

 

 また、骨も衰えもろくなってしまうので、

すぐに骨折したり骨粗しょう症のリスクも高くなります。

 

 運動不足は、持久力、体力共に衰え常にスタミナ不足の状態です。

免疫力も低下する為、細菌やウィルスに対する抵抗力が低くなるので、

風邪や様々な感染症に非常にかかりやすい状態になります。

 

この他、精神的な面にも運動不足は影響を及ぼします。

 

運動不足は、脳の血流も悪くさせる為、うつ病認知症

ノイローゼ、自律神経失調症パニック障害のリスクも高くさせます。

 

この様に運動不足は様々な病気を引き起こしてしまう原因となります。


また運動不足の為、常に肩や腰、膝の痛みやコリの症状、

疲労蓄積の症状に悩まされます。

 

さらに、老化も促進させる為、ホルモン分泌の低下や老眼

薄毛、シワ、たるみなどの原因にもなります。

 

ストレッチ、ウォーキング等毎日簡単に出来る運動を行うだけでも、

これらの病気や不調を回避する事が出来ます。

 

病気にならない為にも、適度な運動を心がけて、

肉体的にも精神的にも健康で元気に過ごすことができます。

●運動不足にならない為の対策・予防のポイント
 毎日何か運動を意識して行ってしますか?
運動不足は、体力を低下させるだけでなく、

様々な病気の原因になってしまいます。

 

特に、中高年になると基礎代謝が低下する為、

病気の予防や元気に過ごす為にも適度な運動は重要です。
病気を予防する為にも運動不足を解消する対策が必要です。

 

 運動不足を解消するには、運動を習慣づける事が大切ですが、

特別激しい運動をする必要はありません。

 

 逆に、激しい運動は活性酸素の発生、乳酸を発生させる為、

体力や筋力がない人、中高年には逆効果になります。

 

 病気を予防する為に行うお勧めの運動は、

有酸素運動です。ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などです。

特にウォーキングは年齢の高い方でも、

すぐに行える運動です。

 

さらに、ウォーキングは、お友達や家族とおしゃべりしながら

楽しく行える運動で、楽しく続ける事が出来ます。

 

楽しく続けられる運動なら、三日坊主にならずに済みますし、

友達と一緒と言う事で続けやすくなります。

 

病気予防の為運動不足を解消するには、

毎日継続する事が大切で、継続させる対策として友達や

家族と一緒に行うと効果が出て来ます。

 

また、日常生活の動作を少し変えるだけでも、

運動不足を解消する対策方法があります。

 

例えば、通勤時に一駅先の駅まで歩く様にするとか、

買い物には自転車や歩いて行くようにする。

エレベーターやエスカレーターは使わずに、

必ず階段を使うようにするなどです。

 

この様な日常の対策が毎日積み重なると、

改めて運動をしなくても十分に運動している事になり、

病気の予防や改善に繋がります。

 

意志が弱いけど運動不足を解消したいと考えている方は、

フィットネスジムなどに通うのが一番です。

 

お金も支払っている事で、支払った分運動しなくてはと思います。

 

さらに、トレーナーの方の指示に従って、

自分に合った運動を提案してくれるので、効率良く運動する事が出来ます。

意志が弱い人は、ジムなど運動する環境に自分を置くと良いかと思います。

 

●体への影響といっても個々によって様々
運動不足になると、体への様々な影響が心配されます。
まずは、肥満です。年齢と共に代謝が落ちる為、

人間は太りやすくなります。

 

 筋肉を使わなければどんどん落ちて行ってしまいます。

筋肉が少ないと脂肪を燃焼する事が出来ないので、

脂肪がどんどん蓄積されて肥満になってしまいます。

肥満になると病気を引き起こしやすく、

心臓にも負担が大きいのです。

 

 糖尿病など成人病を発症するリスクが高くなってしまいます。

この他、便秘や肌荒れなどにも影響が出て来ます。

 

 運動不足になると体全身の血流が悪くなります。

つまり、血流が悪くなると体に蓄積された老廃物が

スムーズに排出されないのです。

 

 体に老廃物が蓄積されるので、便秘になったり肌荒れを起こしたりします。

また、老廃物が溜まる為、疲労回復にも影響があり疲れやすい

体質になってしまいます。

 

 運動不足が原因で血流が悪くなる為、体の中には脂肪や老廃物がたくさん蓄積されてしまうのです。

 

 この他でも、運動不足で関節や筋肉が固くなり、

怪我の原因になる事もあります。ちょっとした運動で、

怪我をしたり筋肉や筋を痛めてしまったりします。

 

また、骨ももろくなり、すぐに骨折すると言う事も考えられます。

 

 精神的にも運動不足は悪影響を及ぼしています。

運動不足で血流が悪くなると、脳にも十分な酸素や栄養が

行き届かなくなってしまうからです。

 

 頭の回転が鈍くなり、正しい判断が付きにくくなってしまいます。

そうなると、仕事や勉強にも影響が出てしまいます。

 

 適度な運動は病気や怪我、さまざまなトラブルを回避し、

自分の体をセルフコントロールする大切な事です。

 

難しく考えずに、階段を使ってみる、なるべく歩く様にする、ストレッチをするなど簡単な事がから始めましょう。

 

●「運動しなさい」と言われたが→エアロビクス(有酸素を取り入れながら行う運動)が有効」


 私も体験したのですが、医者などから、運動不足を指摘されても、

さてどのような運動をどの程度行えばよいかまでは、

アドバイスいただけることは少ないようです。

 

適度な運動をしなさいと言われますが、これがよく理解できないでいました。

 

 ところが私は体育理論を調べていて、この問題に明確に

解答を与えたケネス・クーパの唱える画期的な理論を知りました。

 

彼の著書「エアロビクス」(副題ー新しい健康づくりのためのプログラム)、

の冒頭で、運動不足病の克服の問題を取り上げ、次のように述べています。

 

ケネスクーパーがある医者の集会で講演をしたときに、

聴衆の医者から次のような質問を受けたというのです。

 

「私は、運動を全くしない患者には、もっと運動をするようにといい、

まず手始めに、歩行のような軽い運動をすすめるのですが、

その時患者から、どれくらいの量をどれだけの時間すればよいのか、

と尋ねられると、返事に困ってしまうのです。

あなたはそれを知っていますか」と。

 

 しかしクーパー自身もわからなくて回答できなかったことが、

運動不足克服のためのプログラムを考案するきっかけとなったといっています。

 

 そしてそのための日常生活を快適に過ごすために

酸素摂取能力を高めることができる運動として、

どのようなものが良いか、いろいろ調べてみたら、
全身を使って時間をかけて行うものが良いことが

わかってきたというのです。

 

これによって、心肺機能や血液の循環を良くし効果的だというのです。

 そして具体的には、ジョキング、水泳、サイクリング、徒歩、

その場駆け足などをあげています。

 

 では、これらの運動をどの程度やったらよいのかについては、

運動量を点数化し、1分1キログラムあたり7ミリリットルの酸素消費量を1点とした
基準を設定して、一般の人々が日常生活上で健康を維持していくためには、男子で1週に30点、女子で24点の運動量が必要であることが、実験によって明らかになってきたと言います。

ただ一遍に1週間分を行うのではなく週3日以上に分けて行うようにする必要があります。
       

 例えば次のような運動は5点とします。
 1600メートルを8分以内で走る
 550メートルを15分以内で走る
 8キロメートルを20分以内で自転車で走る
 そして具体的には1週30点の得点例として
 ランニング 2400メートルを12分で週4日行う  
 その場駆け足を 1回10分を1日2回または週6回
 徒歩 2400メートルを週5回
サイクリング 4800メートル1分30秒で1日2回週5回

 

 これらの例を参考にして、自分の環境に合った種目を選んで

実行してみてはいかがでしょうか。

 

 トレーニングセンターにある自転車こぎの器具では、

運動量が示されますので、それによって測定することもできます。

 

 ケネス・クーパーは、その著書の中で「従来は健康づくりと言えば、

ボデ-ビルなどで筋肉をたくましく鍛えるという考え方が支配していた。

しかし一般成人の体力をいろんな角度から調べてみると、

いくら筋骨隆々としていて見かけは立派でも、

長く走るとすぐにへばってしまうといった素朴な疑問に付き合ったってしまった」と述べています


 そこで3人の人に参加してもらって実験をした結果について報告しています。1人目は運動をしていない普通の人、2人目は自転車通勤している普通の人、3人目はボデービルをしている人で、トレッドミル・テストを使って測定したところ、一番体力があったのは自転車通勤をしている普通の人であった、というのです
          
※重要参考図書「エアロビクスー新しい健康づくりのためのプログラム」
      ケネス・クーパー著 広田公一・訳
        ベースボールマガジン社・刊


●筋力トレーニングも必要
運動不足を解消するには、ただぶらぶら歩くとか、

ラジオ体操をするとかでは不十分です。

年齢とともに筋力が衰えるのですから、筋力トレーニングも必要となってきます。

 

 筋力トレーニング方式には、いろいろの種類がありますが

、一般人が日常生活を快適にすごせ、スタミナも付く

サーキット・トレーニング法」があります。

 

筋力トレーニングでは、一般的にはバーベルなどを持って行う

ウエート・トレーニングがありますが、激しくやりすぎると、

筋肉を痛め、活性酸素を発生させるなどして、

かえって体によくない場合もあることから、

体に無理がかからなくて行える方法を、

イギリスのモーガンとアダムソンによって

サーキット・トレーニング」が開発したのです。

 

 サーキットとは循環するという意味で、

体のいくつかの異なった部分を鍛える運動を、

一定の順序に配列してコースを作り、それを繰り返すなど、

最初の運動から最後の運動まで1順したら、

再び最初の運動に戻って2順目に入るといった具合に、

体力に応じてそれを繰り返すというやり方をとっています。

 運動の種目は
① 腕の筋肉
② 脚の筋肉
③ 腹の筋肉
④ 背の筋肉」
⑤ 全身運動
に分類しこれを2~4回繰り返すのです。
       
米 重要参考図書「「サーキット・トレーニングモーガン・アダムソン共著」 加藤橋夫・窪田登訳
             ベースボールマガジン社。・刊

●準備運動と整理運動も必要
 エアロビクスのケネス・クーパーもトレーニングの前後には、

準備運動と整理運動が必要だと言っています。それに最適なのがストレッチです。

 

ストレッチは、昭和55年10月NHKスポーツ教室で取り上げられたことから、急速に普及してきているようです。


 ストレッチ体操は、従来の準備体操の反省から生まれたものと、言われており、アメリカのボブ・アンダーソンが開発しました。

 

 ストレッチはトレーニングの準備運動や整理運動に欠かせないものとな
っています。


 これを行うときの注意点として
① 決して無理をしない
② ゆっくりやる
③ 弾みや反動をつけない」
④ リラックスして行い、複式呼吸法で、実施中も息きを止めない
⑤ 1つのポーズは10秒から30秒程度で行う

⑥ ポーズを行う順序や種類は特に決められていないので、どこから初めてどこで終わってもよい
   

米 重要参考図書「ボブ・アンダーソンのストレッチング」
       ボブ・アンダーソン著 堀井明訳

 

 

コラム
 0歳~50歳ころから適度な運動している人としていない人では、70歳~80歳で大きな差となってしまいます。私は50歳頃運動を始めましたが、80歳を過ぎても体力年齢は20歳代が多く、日常生活でも、現在札幌市からの委託でボランテア除雪を5軒受け持っています。対象先の家庭の主人はほとんど寝たきりから亡くなっており、奥さんだけの所帯になっています。除雪は全身運動にもなりますので、その日は他に運動をしなくても済みます。他人を助けて感謝してもらい、かつ報酬【通期完了後1軒に就き21000円】が支払われます】
 
 運動するときに守らなければならない原則

●トレーニングで心がけること 
 トレーニングを始めるにあたって、私が心がけている【トレーニングの原則】というものがあります。これを知らないで、ただ闇雲に始めると、かえって体を壊してしまうこともあるからです。

 1つ目は、斬進性の原則です。少しずつ、慣らしながら行い、決して無理をしないことです。
        

 2つ目は継続性の原則です。続けなければ効果が出てきませんよ、3日坊主ではだめですよ、ということです。続けるためのコツがあります。それは始めた当座は大変ですが、それを乗り越えて習慣にすることですが、さらに「中毒」になるまでになったら、しめたものです。運動しないと身体がムズムズとなり、自然に運動するようになります。


 

 3つ目は個別性の原則です。1人1人やり方、程度は違ってよいのですから、人の真似をする必要はないという原則です。
          

 4つ目は、過負担の原則です。トレーニングの程度は自分にとって、あまりきつすぎても、楽すぎてもだめ、ちょっときついかな、という程度が良いのです。
 5つ目は、意識性の原則です。トレーニングをすることにより、どのような効果があるかを知って、意識して行おうという原則です。その為にこの運動がどうして身体に良いのか、を理論的に知る必要があります。


● 私の「3033の原則」
 以上は一般にトレーニングの原則といわれているものですが、私はこれに「3033の原則」というものを加えました。
3033を30と3と3に分解します。

 これはトレーニングをどの程度行ったらよいかの目途を示したものです。
 まづ、1日に30分をトレーニングのために費やしましょう、ということです。

 次にそのトレーニングを1週間に3回行いましょうということです。それもあまり間隔をおかないで、隔日か2日空けて行うようにします。

 最後に、このようなトレーニングを3ヶ月は続けて行いましょう、ということです。そうしますと、トレーニングをする習慣も出てきますし、効果も現れてきますのでそれ以降は継続しやすくなるからです。